- 1:設置プラン
- ニョーボは一応、コールサインを保持しておりますのでクルマに無線機を搭載するのは問題ありません。ですが、恐らく自ら無線機のスイッチを入れようなんて気持ちはサラサラないと想像できます。でもAPRSは無線機のスイッチが自動でON/OFFできれば、本人がマイクを握る必要はありませんのでそれは無問題。というわけで、下記の仕様を考えました。
●イグニッションキー(始動ボタン)に連動してRIGの電源をオン・オフ
これなら無線機の搭載を意識すること無く、電源をオン・オフできます。後は無線機が勝手にAPRS信号を出します。
●電源はシガーライターから取る。
この方式はあまり良くないと聞きますが、「邪魔だから降ろして頂戴!」と、ご本人がお怒りになった場合に簡単に降ろすことが出来ます。(笑)
箇条書きに書いた割にはたった二つですが、とにかくお手軽に出来るように考えました。
これなら配線材が揃えば小一時間で作業完了です。幸い、ヒューズも含めて配線材は全て在庫品がありましたので、かくしてニョーボのAPRS信号は送信されたのであります。
- 2:アイドリングストップ機能
- 搭載後、ニョーボが出すビーコンを自宅PCで眺めてはご満悦の私でありました。
しかし数日後、クルマに同乗する機会があったのですが、その時にショックを受けました。
最近のクルマは省エネ機能の一つとして「アイドリングストップ機能」が搭載されております。このクルマもその機能が搭載されております。信号待ち等で停車するとエンジンがストップし、ブレーキペダルから足を離すとエンジンが始動します。このとき、始動のために大電流が流れますのでバッテリの電圧が一瞬、非常に低くなります。
その結果、無線機は「電源が落ちた」と判断し自らをオフにしますが、一瞬にして電圧が復帰するので無線機は電源が再びオンになったと判断、再起動します。
普通の無線機で受信中ならば受信音が途切れるだけで済みますが(送信中ならちょっと大変かもしれませんが)、今回搭載したのはGPSアンテナ付きのAPRS用無線機です。 再起動すると無線機はまた最初からGPSの位置決めを始めたり、ビーコンを改めて送信したり、画面の表示は電源を入れた直後の状態に戻ってくれたりと結構忙しいことを行います。
これが信号待ちや一時停止の度に発生するのであります。運用上良くないばかりか、無線機にとってとてもストレスを与えてしまいます。こんなに頻繁に電源をオフ・オンしていたら、あっという間に壊れちゃうんじゃ無いかしらん?
エンジンを始動すれば電圧が落ちる。どうしてこんな事に気付かないのでしょう。(「気がつかない」1回目)
- 3:電圧降下防止装置
- ナントカしなくちゃと、無い知恵を絞ってみました。
・アイドリングストップ機能をOFFにする
根本的治療法ですが、せっかくの省燃費機能を使わないというのはモッタイナイです。したがって、この選択は今回においては除外します。あくまでアイドリングストップ機能を生かしたままなんとかしたいです。
・バッテリから直接電源を取る
電圧降下を起こしているのはバッテリそのものです。恐らくバッテリから直接電源を取っても現象は解決しないでしょう。
・DC-DCコンバータを入手する
12Vが5Vや6Vに落ちても13.8Vを安定して供給する装置、などというのはメーカー向けのがあるのは判りましたが市販品を見つけることが出来ませんでした。もちろん、作るなんて私には無理!
・電圧が落ちない回路を探す
上記のようなメーカー向けのDC-DCコンバータがあると言うことは、そのような装置が自動車に搭載されていると言うことです。ですから、どこかにはエンジン始動時にも電圧が下がらない回路があるのでしょう。 恐らく、エンジンをコントロールするコンピュータの電源などは定圧が保証されていると思いますが、ここから8Aも食う無線機の電源を取っても大丈夫なのかしらん? と、安全性に疑問を感じます。
・電圧が落ちたときだけ補填して上げる
普段、電気を蓄えておき、電圧が落ちたときだけ電気を補填して上げる。つまり、予備バッテリを用意して並行につないでおけば良いのじゃ無いか?
でも本当に単純に並行接続しただけじゃ、エンジン始動時に予備バッテリも恐らくエンジン始動に使われてしまい、電圧降下を落とすことになるでしょう。
ならば、逆に流れないようにして上げれば良いんだ!!
というわけで考えたのが下記の回路。Wordで書いたのをハードコピーしたので汚くてすいません。
これを電気の「プロ」な方々に見せたら、「サブバッテリへの充電は検討の余地がありそうですが,安直にはそういう話でしょうか.」と、OKとまでは言ってもらえませんでしたが、NGは出ませんでしたので作る気になりました。ただ付帯意見として、「ダイオードスイッチングの時間で無線機がリセットされないことを確認する必要もありそうです.」との専門的なお話しを戴いたのでありました。
スイッチングの時間でマズイ事が起きるというのであれば、ショットキーバリアダイオードなどという部品を秋月で目にしたので購入。ただそれだと、逆方向漏れ電流が大きいとか聞いたので念のため普通の整流用ダイオードも購入しました。
どちらも1000V10A対応。オーバースペックの極みですので、まあ安心でしょう。おかげでリード線が太くて、ハンダ付けに苦労しました。(笑)
ここまでは定格だけで買い物できますが、問題は抵抗のスペック。専門家では無いのでどうしたモノかと悩みました。
そこでまず入手したバッテリの仕様を確認してみます。それによると、充電電流は0.25Aとのことでした。クルマの電圧は走行中は通常14.5V位あるようです。仮にバッテリの電圧が0Vだった場合、クルマからの充電電圧は14.5Vとなりますので、オームの法則から抵抗値は58Ωとなる(のかな?)。
なので、14.5Vで0.25A流れる抵抗は3.6W消費することになります。
ということで、目出度く58Ω3.6W以上の抵抗を探せば良い事になります。 熱くなっても良い抵抗ということでセメント抵抗を探したのですが、丁度良いものがありませんでした。
そこでまたオーバースペックの100Ω10Wを入手。並列で使えば50Ω20Wの抵抗と言うことになります。充電電流が0.29Aと多くなりますが、そこはアマチュアの世界なので多少の誤差はバッテリに許してもらいましょう。(でも、本当にこの計算で合っているのかな−?)
- 4:無停電電源装置に
- さて、部品点数が少ないので目出度く完成! \(^o^)/
例によって裏側はお見せできるようなシロモノではありませんが。
早速クルマに取り付けようと作業を始めたのでありますが・・・「ああ!!」
これ、クルマからのメインのバッテリが死んでいるときは必ずサブバッテリが仕事を始めます。つまり、クルマが走っていようが止まっていようが、車庫に入っていようがサブバッテリが稼働し続けます。これじゃ無停電電源装置であります。
無線機の電源を降車の度に切るという運用ならばまだ救われますが、それじゃあ最初に求めた「イグニッションキー(スタートボタン)に連動」を満たすことが出来ません。
そのため、この装置をクルマに搭載した瞬間から無線機は稼働しました。スタートボタンを押してエンジンを始動しても無線機は再起動しません。 電圧降下防止装置としては完成ですが、このままではサブバッテリがあっという間に干上がってしまいます。
どうしてこんな簡単なことに気付かないのでしょう。(「気がつかない」2回目)
- 5:電源を入れる為の電源
- 愕然としながらいろいろ考えてみたのですが、やはり何らかのスイッチが必要のようです。エンジンがかかったらサブバッテリがONになる装置。。。ふむ、リレーを使えば良さそうです。幸い、田舎のホームセンタにも電装品用のリレーがありましたので買って参りました。オーバースペック(30A)ですが、これしか売っていないので仕方有りません。
リレーを買ってきたのは良いのですが、リレーのコイル電源をどこに取り付ければ良いのでしょう? エンジンを始動するときにも電圧が落ちない場所。無線機の電源を引っ張るわけで無く、リレーのスイッチに使うだけなので消費電流は無視できると思います。しかし、それでもコンピュータからは取りたくないですねー。と、思ってメータパネルを見ていると、ここはエンジン始動時に灯りがちらつきません。
そこで、メータパネルのヒューズボックスから電源を取り出してリレーに接続してみたところ、うまくいくことが判りました。これで完成です。きっと。(笑)
「シガーライターから電源を取る」という仕様は一応満たしておりますが、リレーのコントロール線という余計な配線が増えてしまいました。
- 6:完成
- 装着はいい加減です(苦笑)。
いい加減な取り付けですが、それでもアイドリングストップ時の再始動時にもRIGが再起動しなくなり、快適なAPRS運用となりました。
一応、サブバッテリー使用時にも送信に影響が無いようにと、7.2Ahという大容量を使用しております。また、車両火災なんてのはゴメンですから、信頼が置けると思われる国産メーカのバッテリを使用いたしました。
部品は秋月電子で全て揃いました。一番高かったのがバッテリです。後は1k円しないかも。(笑)
恐らく、クルマのヒューズボックスを丹念に探せば電圧降下の無い回路が見つかるかもしれませんが、見つかったからといってそこから無線機の電源を取り出せるとは限りません(消費電流の問題)のでお気を付け下さいませ。
なお、消費電流の少ない電装品の場合はこの様なバッテリではなく、コンデンサでも大丈夫かもしれません。
私の乗っているクルマはニョーボのクルマとは違い、アイドリングストップがついていない旧車です。それでもバッテリの充電は細かくコントロールされているようです。装着しているデジタル電圧計をみていると、かなりちょこまかと14V台になったり12V台になったりしています。アイドリングストップ機能のクルマはそれに加えて減速時にどーんと発電するとか、とにかくオルタネータのコントロールが厳しいようですね。ですから今のクルマは漫然とサブバッテリを装着しても充電するのは難しいかもしれません。大変な時代になったモノです。
最後に、この作業を生暖かく見守ってくれた & 適切なアドバイスを下さった掲示板の皆様に御礼申し上げます。
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