さすがにOB達は平素、無線活動をしているわけにも行きませんのでJA0YCWのコールサインももてあまし気味。ならば自動でON-AIR出来る設備を作れば良いではないか。ということで、APRS(Automatic Packet Reporting System)のI-GATE局運用を開始しました。「APRSって何?」については、東京WIRESハムクラブのAPRSに詳しく書かれているとおりです。
ようするにAPRSとは、アマチュア無線家がどこにいるか瞬時に判り、また必要に応じてその人々がメッセージのやりとりをすることも出来るという、世界規模のネットワークであります。
これを実現するために、移動局側はGPS受信装置・パケット通信設備(TNC)・RIGを用意する必要があります。
で、I-GATE局ってのはパケット通信設備(TNC)・RIG・パソコンを用意し、移動局とインターネットを仲介してAPRSサーバとのやりとりをしたり、移動局と移動局のパケットをリレーするという、携帯電話の基地局のようなものです。それをJA0YCWが始めたわけです。
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■□■ 現在のI-GATE稼働状況(JA0YCW) ■□■
- 1:設置前の情報収集
- 携帯基地局と同じようなものですから、近所に基地局が既に存在していれば設置の意味がないばかりか、既設の局に邪魔になるばかりです。インターネットで調べてみると、一番ご近所は市内の長岡技術科学大学に設置されております。とりあえずこちらに一言ご挨拶してから始めることにいたしました。
幸いにも開設に対してご厚意とご協力の返事を戴きました。ありがとうございます。ちょうど栃尾が電波の空白地帯だったので、場所的にも良いようです。
あとは「何が必要なのか」「どう設定すればいいのか」「変更申請の方法」などをネットで調べます。何でもある程度まではインターネットで居ながらにして調査できるなんて便利な時代です。
- 2:何が必要なのか
- インターネット常時接続できる環境とパソコンとTNCと無線機&アンテナがあればよいようです。
JA0YCWのあるシャックには、パソコンは幸いそこらに余ってます。今回使用したのはPentium3の800MHzマシン。これで充分実用になります。TNCも10年くらい前までやっていたRBBSの機材(KPC-4J)がありましたので揃いました。
ただ、実験中に無線機(TM-732)を一台ボンクラにしてしまいましたので、運用に当たっては会長からRIG(1986年もののFT-2700R!)を提供してもらい、それを正式運用では利用する事になりました。(なんで壊してしまったかというと、TNCとマイクコネクタの接続配線ミスです。昔の無線機はそんなことでは壊れなかったのに・・・・)
ソフトウェアの方はUI-View32というのを使います。設定方法はJAPRSXのページに出ております。また、設定作業時にはCQ出版社の書籍 「新世界の扉を開こう デジタル&インターネット通信」があると大変作業がやりやすくなります。
- 3:どう設定すればいいのか
- 上記に紹介したJAPRSXのページと書籍、それにAPRS I-Gate設定(UI-VIEW32) を参考にしました。基本としてはこれらの資料で作業が出来るようです。
上記の参照した資料では、デジピータについては非常に「慎重に」という記載があります。確かに資料と異なった設定を行うと、受信したパケットが大量にインターネット上を流れてしまったり、逆に大量のパケットを無線で送信したりすることになるようです。影響を受けるのは自分だけでなく世界規模になりますので、資料に沿った設定をしたほうが賢明のようです。
ただ、時々それぞれの資料で説明が異なることがあります。そう言うときには資料を良く読んで自分で選択するしか有りません。ソフトウェアにも詳細なヘルプが記載されているのですが、英語なのが難点のど飴(謎笑)。
一番悩んだUI-VIEW32セットアップ画面のハードコピーを掲載させていただきます。これ以外は(確か)デフォルト状態だと思います。問題があればご指摘いただけると幸いです。
Station Setup
IGATEなので RFONLY です。ビーコンはデジさせません。
Digipeater Setup
上記ではデジピータをONにしてますが、過密地域ではOFFが推奨されてます。
(すでに新潟でも過密と思われるので、私はOFFにしてます(2009/10/01))
Comm Setup
デジ機能を利用するので、KPC-4JをKISSモードで使用してます。
APRS Server Setup
バリデーション番号を登録します。その他にIGATE機能を設定。
Schedule Editor
再起動時にサーバに自動接続するようにします。
- 4:変更申請の方法
- 今回は技適機種の増設ではありませんし、そうだったとしても外部付属装置を付けたことになりますので、どうやら総合通信局へ直接ではなく、TSSへの保証願を出す必要があるようです。
となると必要になるのが付属図面なのですが、とりあえず書いたのがこれ。いや、お恥ずかしい書面です。(苦笑)
電鍵操作回路付低周波発振器は、APRSを使用する上で特に必要はないのですが、F3Eでワッチしている方にはF2Dだけだと意味不明であろうと言うことでオマケです。
- 5:運用開始
- それやこれやで運用を開始しました。144.64MHzでI-GATEをやっております。山間部なのでカバーエリアをきちんと申し上げるのは難しいのですが、目的は長岡市内の旧栃尾市地域におけるブランクエリアの解消であります。自分で走って試してみたのですが、旧栃尾市地域の概ねはカバーし、三条市(旧下田村地区)・長岡市(旧山古志村地区)・魚沼市(旧守門村・旧入広瀬村)方面の一部もサービスできていますので、当初の目的は達成できているようです。
24時間運用なので廃熱には一応気を遣うところです。現在はこのような配置になっております。写真撮影後、安定化電源を交換してます。さすがに15年ものの電源を24時間稼働するのは不安ですので(笑)。
最近は小型のスイッチング電源が主流のようです。ですが、やはりローバンドや中波帯でノイズが乗る製品もあるようなので、あえて昔ながらのシリーズ式を採用してます。
JA0YCW I-GATE諸元 |
周波数 | 144.64MHz |
出 力 | 10W |
空中線 | 5/8λ3段GP(15m高) |
種 別 | I-GATE局 |
回 線 | フレッツ・ADSLモアV |
稼働状況はインターネットでリアルタイムに調べることが出来ますので、出先や出張中でも停まっているかどうかが確認できて便利です。RBBSをやっていた頃にはこういう管理は想像も付きませんでした。
とはいえ、停まっているのを確認できても復旧までは出来ません。つい先日も職場で停止しているのを確認できたのですがどうすることも出来ず、帰宅してみたらPCがハングアップしていたということがありました。リモート接続・UPS設置・etc・・・災害強化対策はこれからです。
- 6:移動局の軌跡
- 県内にはJA0YCWの他に長岡技術科学大学を含め、いくつかの先輩I-GATE局が存在します。ビーコンを出しながら自動車で移動すると、それらのIGATE局がビーコンを拾ってくれて、下記のように軌跡を確認することが出来ます。これは走行した結果を自宅に帰ってから確認したものですが、リアルタイムで走行中の軌跡を確認することも出来ます。
海岸部の軌跡があり得ない直線コースを描いてますが、これは走行中の細かいビーコンを拾えるIGATE局が近所に無かったために空いてしまったことによります。新潟の海岸線はすぐ後ろに山がそびえているので、平野部からの電波は届きにくい場所がかなりあります。佐渡にIGATE局が出来ればこれもかなり改善されると思われますが。。。
※2010年1月より、上記システムをバージョンアップしました。ぜひ、
「APRSの続き」もご覧下さい。
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