長岡高専OB無線部

JA0YCW・IGATE局(2)

JH0EYA (2010/01/08)
Update(2010/10/14)

 APRSが稼働して1年、今までずっと144.64MHzにおいて1200bpsで運用して参りました。
 ですが、ここにきて急に9600bpsに挑戦する方が増えてきたような気がいたします。それとともに運用形態の見直しも行われている雰囲気があり、新潟県の場合は1200bpsでの運用は144.66MHz、9600bpsでの運用は144.64MHzといった流れになりつつあるようです。

 JA0YCWも安穏としてはおられませんので、この流れに乗っかり、9600bpsでの運用を試みることにいたしました。


1:材料集め
 9600bpsにしてみようと思っても、そのようなTNCは持ち合わせがありません。大昔にKPC-9612Jという9600bpsが出せるTNCを持っておりましたが、すでに廃棄したあとです。まあ、そんな何十年も前の話を今頃悔やんでも仕方ありません。
 そんなとき、ふとしたことでJA0CAWさんから「AGWPEというパケットエンジンソフトを使えばよい」とアドバイスをいただきました。これを使えばパソコンのサウンドボードがTNCの代わりをしてくれますので、パソコンと無線機を接続するだけで9600bpsの運用が可能のようです。しかも、1台のPCで2Portの運用が可能とか。そこで欲張って今回は1200bpsと9600bpsの2Port運用を立ち上げてみることにいたしました。

2:インターフェース
 材料はそろいましたのであとはパソコンと無線機を接続するだけです。今まで使用してきたFT-2700は1200bps専用とし、9600bps用にはIC-208を使用することにしました。このRIGにはDATA端子という便利な端子が背面にありまして、ここに接続するだけで9600bpsの変調が可能です。昔みたいにVCOに半田付けする必要もないので非常に楽になったものです

 とはいえ、周辺機器と無線機を直接接続して壊してしまった過去の経験もありますし、なにより無線機とPCの接続ですから送受信切り替え(PTT)の配線を自作する必要があります。
 当初はフォトカプラやトランスを使って「完全な」アイソレートのインターフェースに取り組んだのですが、電気科卒業のOB諸氏とは違い、あくまでアマチュアの私としてはうまくいきませんでした(笑)。
 結局できあがったのは下記のようなシロモノ。手持ちの部品で仕上げたので一部部品名は不明なところもあります。これをそれぞれの無線機用に2組作成しました。

 回路図を書くツールなんかありませんので、汚い図でも勘弁してください。ちなみにWordでチマチマ書きました。
 あ、このインターフェースを2組同時に使用する場合、PC側のPHONEとLINEはLチャネルとRチャネルのそれぞれを独立して使用し、RS-232Cへの接続も片方はRTSを使用し、もう片方はDTRを使用します。LチャネルとRチャネルの選択やRTS、DTRの選択はAGWPEの設定によります。AGWPEの設定についてはこちらを参考にされてください。

3:接続
 構成はこのように(PDF)して申請しました。(が、後述のように却下された)
 上記リンク先の図では、あたかも無線機とPCが一対一で接続されているように見えますが、実際には9600bpsの信号のみIC-208に接続し、1200bpsの信号をFT-2700に接続することで、1台のPCで2台の無線機を接続するという構成になっております。(IC-208でもF2D免許が欲しいのでちょっと編集して申請してしまったのであります。でも、「虚偽」じゃ無いと思うのであしからず)

 なお、上記の図面をTSSに保証認定申請したら却下されました。なんでかというと
  「パケット通信装置で送出する信号(情報)は、どのようなものですか。アナログ情報をデジタル化して送出する場合は、そのA/D変換の方式等をお知らせください」

 ということです。つまり、送信する信号が画像なのか音声なのか文字なのかワカランヨ! とおっしゃるわけです。ふむ、言われてみればそうかも?というわけで、再申請したのがこちらの図です。昔はそこまで文句言われなかったのに・・・。

4:現在の状況
 それやこれやで2010.01.08時点では下記の運用となっております。9600bpsの通りがイマイチですが、運用しながら改善していきたいと思います。
Station Setup
Station Setup
UNPROTO PORTを前回と違って二つにしております。

Digipeater Setup
Station Setup
Digi routesの設定をこのようにすると良いと気づくまでに三ヶ月(苦笑)

Comm Setup
Station Setup
ソフトウェアモデムなのでパラメータはグレーアウト。

APRS Server Setup
Station Setup
この画面は以前と変わらないはずです。

Schedule Editor
Station Setup
ここも前回と変更無し。

JA0YCW I-GATE諸元
 周波数 144.64MHz(9600bps)
 144.66MHz(1200bps)
 出 力 20W(9600bps)
 10W(1200bps)
 空中線 5/8λ3段GP(9600bps)
 アローライン(1200bps)
 15m高
 種 別 I-GATE局
 回 線 フレッツ・ADSLモアV
 9600bpsは思った以上に接続が悪いですね。変調のレベル調整はPCのスライドボリュームで調整するのですが、どのポジションがベストなのか、まだつかみ切れておりません。変調の波形でもモニタできれば判りやすいのでしょうけど、そんな測定器はないので「耳」で確かめるしか術はありません。でも、9600bpsってのは耳で聞いてもホワイトノイズにしか聞こえなくて・・・。

5:ついでに行った作業
 不在時に何か問題が起きたとき出先からは何もできない。というのでは管理者としていかがなものかと常々考えておりました。そこで、せめて出先からも(携帯電話で)パソコンの起動・停止くらいはできないかと考え、下記の考察をいたしました。

・電源の投入はWOL(Wake on LAN)機能を使い、携帯からWeb上のCGIを実行して起動
・停止や再起動はメール受信後にコマンド実行するプログラムを作成する

 まずはWake on LANですが、PCは対応しておりますしルータ越えの問題も解決しており、CGIを作成して携帯からポチッとすればPCが起動するはずだったのですが、私が契約しているプロバイダではCGIでSocket通信をサポートしておりませんでした。なので、出先からの電源投入は頓挫。(情けないぞ!→Nifty)

 停止や再起動ですが、これはメールを常に監視し、特定のメールが受信されたら指定されたバッチプログラムを起動することにより、パソコンの停止や再起動をすることにしました。こちらは手作りするしかないのかと思っていたら、こんなプログラムもあるのにはビックリしました。→指令メール実行

 ただ、最近のメールサーバはセキュリティがいろいろと厳しく、上記ソフトではメールサーバへの接続設定パラメータがイマイチで、常用しているプロバイダのメールサーバが利用できません。
 そこでいろいろと物色した結果、最終的には普段使用しているメールソフトのフィルタリング機能を使うことにしました。
 上記は私が愛用しているメールソフト「Becky!」の設定例です。このように記述することにより、携帯電話から「neko」というタイトルのメールが送信されてくると、PCはコマンドラインに記述されたシャットダウン処理を行います。参考までに、shutdown -s -t 10 だと、10秒後にシャットダウン。 shutdown -r -t 10 だと、10秒後に再起動です。

 この他にもメールの自動返信機能というのも「Becky!」にはありますので、これらを組み合わせれば再起動・シャットダウン後に携帯にメールを自動返信してシャットダウンや再起動が実行されたことを確認することが可能です。
 これらの機能は恐らく他のメール送受信ソフトでも可能と思われます。

 というわけで、不慮の場合も携帯からメールでPCをシャットダウン/リブートすることは可能になりました。
 あと、本格的に携帯からPCをコントロールするならばこのようなソフトもあるようです。→mobile2pc
 JA0YCWの場合「そこまでしなくても」というのが正直なところです。

 ではシャットダウンした場合、電源を入れる方法は?
   1)パソコン本体に大きく「電源スイッチ」のシールを貼る
   2)事務局のXYLに電話して「電源スイッチ」を押して貰う
 訓練さえ積んでいれば、安全、安心、確実な方法です(笑)。

6:特別ふろく
 新潟県内のI-GATE局およびデジピータがどこに存在するか、この地図を見れば一目瞭然!!
 JR0DMI/ヤマザキさんが公開されている、新潟県版APRSマップ(JPEG版)をリンクさせていただきます。氏は県内のAPRSの普及に大変貢献されておられる方であります。

 リンクのPDFには記載されておりませんが、JA0YCWも「対応デジパス=WIDE1-1」「SSn-N=NG」対応でございます。

7:注意喚起
 2010年の8月末、瞬停によるPCの誤動作が原因で、144.66MHzの電波を4日間も連続で送信したままとなる事態が発生してしまいました。あいにくと私はその間1エリアにいたので全く気付かず、技大の無線部の方からメールを戴いてようやく判った次第です。「こんなこともあろうかと」用意しておいた「携帯からメールでPCをシャットダウン」という機能が早速役立ちました。
 でも電波を4日間も連続送信していたのはイカニモオマヌケですし、ご近所の皆様に多大な迷惑をおかけしたことになります。(本当に済みませんでした)

 真っ先に行ったのは無線機のTOT設定です。TOT(タイムアウトタイマー)機能はデフォルト状態ではOFFになっている場合が多いので、必ず見直しをした方が良いでしょう。
 また、古い無線機になるとTOT(タイムアウトタイマー)が付いていない無線機もあります。このような無線機を使用する場合は、連続送信防止回路を付けてあげた方が良いと思います。
 自作されるのでしたら、PTT-Timer回路などが参考になるかと思いますし、「そんなのマンドクセ!」という方にはアドニスの無変調防止アダプター(OT-3)などというものもありますので、是非ご検討下さい。

 転ばぬ先の杖と申します。無用な電波を垂れ流して、ご近所(私の場合は中越〜下越地方一帯と広かったですが)に妨害しまくりして不評を買うよりはよろしいかと。


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