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小木ノ城ARSR /RCAG

JH0EYA(2008.10.18)
Update(2014.09.26)
   

 

   昔から気になっていた航空路監視レーダー施設を見学してきました。
今まで行きたくても道が判らないので行けなかったのでありますが、考えてみればそういうときのためのカーナビであります。
 本日「小木ノ城に行きたい」と目的地をセット。あとはナビに従ってハンドルを握ったのでありました。いやー、便利な世の中になったものですね。(勝手に感動している)

 【追伸】 2010年10月3日に施設の見学会に参加することが出来ましたので、その部分も追加ご紹介いたします。
 【追伸2】2013年03月31日で小木ノ城設備は運用を停止ました。2014年9月23日現在、設備は跡形も残っておりません。


 【ご注意】以下は2008年および2010年の取材内容です
 長岡航空路監視レーダーは、東北及び中部地方を飛行する航空機の安全と運行効率の向上を図るため、第三次空港整備五カ年計画(昭和51年〜55年)で整備することが決定されました。
 レーダー及び対空通信施設は、長岡市西方の西山連峰にある小木ノ城跡南約1kmの芝峠に設置され、「小木の城ARSR/RCAG」と呼んでいます。
 これらの施設を管理する基地局は長岡市内に置かれ、昭和58年の運用開始以来ARSRにより航空管制に必要なレーダー画像を、またRCAGよりパイロットと航空管制官の無線通信を、東京交通管制部などの航空管制官に24時間提供しています。
 保守については平成12年3月まで、24時間レーダーサイトに管制技術官の職員を配置していましたが、現在は週2回の巡回保守を行っています。

 
 長い林道を抜けるとそこにはこっちは何でしょう?
雪国植物園を過ぎたあたりで車は林道に入ります。そこから延々と走っていくと・・・
おお!レードームが見えてきました。
が、あれ?目的の設備じゃありません。目的地の設定を間違えたかな?(^_^ゝ

 (2010.10.11追加)後日取材の結果、この設備は薬師岳レーダ雨雪観測所で有ることが判りました。

 T字交差点地蔵堂方面工事中
先ほど見えたレードーム設備には、工事中のためここからは行けません。
でも、反対側に走っていけば目指すレードームがあるはずです。車はここで右折し、北上を始めます。

 もうね、細いんです周りの草が侵略している
元々の道幅は4m位はありそうなのですが、両サイドから雑草が「侵略」しているので実際の道幅は自動車一台が通るのがやっと。
でも天気はよいし眺めも良いところがあるので、家族はそれなりに満足の様子。(これでも一応家族ドライブなのです)

 アンテナ群が見えたので車を止めましたアンテナは撮影できず
森林越しにアンテナがちらっと見えたので車を止めるとこんな設備があります。右に続いている傾斜路の上にアンテナがあるのですが視認できず。雪対策のためか入り口も「高床式」になっております。

 入り口部分を拡大小木ノ城RCAG受信局舎
RCAG (Remote Control Air Ground)、日本語で「遠隔対空通信設備」の受信設備のようです。 送信設備の方はレーダーサイトの近くにありましたが写真はありません。
RCAGについてはこちらをご覧ください。
なるほど、このおかげで栃尾の田舎でも航空管制が聞こえるわけですね。

 丘の向こうにレードーム
目指す設備(航空路監視レーダー施設)が稜線の向こうにちらりと見えます。まだまだクネクネ道が続いております。
この辺から家族に「この先に本当に行けるのか?」という不安と動揺が走ります。ドライバーは平気なんですけど。。。(苦笑)

 謎の設備マイクロ波の中継ですが
局舎の名前も設備名も何にも書いていないマイクロ波中継局。
弥彦と枡形山方向を向いているのは想像が付くのですが、写真左のアンテナがどこを向いているのか想像付きません。柏崎のどこかでしょうか?

想像以上にでかい
 小木の城ARSR 
ようやく目的地到着。 \(^o^)/
いつか行ってみようと思ってからウン十年。ようやく念願を果たしました。想像していた以上に大きいのですねぇ。
で、有事になると真っ先に攻撃目標になるのですよね?(^_^ゝ
自衛隊のサイトじゃないから大丈夫かな?
 ま、とにかくこの航空路監視レーダー(ARSR:air route surveillance radar)が、日夜良い仕事をしているわけですね。偉い偉い。

 立ち入り禁止これだけ?
さぞかし警戒厳重だろうと覚悟して出かけたのですが、出迎えてくれた警戒はたったのこれだけ・・・。
まあ、もっと中に行けばそれなりのフェンスとかあるのでしょうけど、「立ち入り禁止」に敬意を表してこれ以上立ち入りませんでした。なんだかなー、平和だなー。

 小木の城ARSR(2)全景
道路脇から眺めるとこんな感じです。でかいドームですよね。中のアンテナを見てみたいものであります。
ちなみにこの設備って有人なんですかね?敷地内に自動車が止まっていたのでこのときは少なくとも人がいたようですが。

 (2010.10.11追加)コンクリートの建物上方左に、灰色の四角があります。この中にはマイクロ波アンテナ(レーダーサイトと長岡市内の基地局の約10kmを結ぶ回線のアンテナ。利得は43db)が設置されております。まさかここにパラボラが隠れているとは思いませんでした。

 ミカカの設備と思われますがもったいない
無ぇーじゃん。アンテナが一つも無ぇーじゃん!!
昔はさぞ賑やかにアンテナが乗っていたのでしょうねぇ。こういう姿を見ると無線家として一抹の寂しさを感じます。
お金が充分にあったなら、こういう設備を買い取ってアマチュア無線のシャックにしてみたいものであります。

 謎の石碑ググっても資料なし
下山途中で道ばたにあった謎の石碑です。
さて、下山した場所は出雲崎町でありました。どうやらここから登るのが通常ルートのようであります。ここから小木ノ城跡までは、ハイキングをする人も多いようです。

 建物を見上げる2010.10.11追加
レードームの設置されている部分が建物の9階になります。長岡駅前ですら高層建築少ないのに。(笑)

 1階には自家発電装置やバッテリー、CVCFなどの電源設備があります。地滑りや積雪で停電することが多いので、自家発電装置は3日間位稼働可能なのだとか。

 そして3階が我々見学者が一番興味深い装置が並んでいるフロアです。
 まずはARSR(航空路監視レーダー)。主な諸元は  送信周波数 1300MHz帯、 送信電力 2MW、 電波形式 1M50P0N、 パルス幅 3μS、 パルス繰り返し周期 228PPS、 探知距離 半径200海里、 最小探知面積 15平方メートル、 アンテナ回転数 6rpm、 出力管 水冷クライストロン

 次はSSR(Secondary Surveillance Radar)です。送受信周波数1000MHz帯、 送信電力 1.5kW、 電波形式 6M00V1D、 パルス幅 0.8μS、 パルス繰り返し周期 228PPS、 探知距離 半径250海里、 出力管 トランジスタ。

 これらの機器の他に、
 DIG(レーダー信号から航空機を検出し、デジタル信号に変換する装置)、
 DRVT(Digital Radar Video Transmitter)アナログレーダー画像をデジタル化して伝送する装置。
 RCM(Remote Control and Monitor equipment)RCAGの制御を行う装置
 OCE(レーダーサイトとRCAG送信所や受信所を光ケーブルで接続する装置)
 RML(Radar Microwave Link)レーダーサイトと、麓にある基地局をリンクしているマイクロ波回線。 送受信周波数 12GHz帯、 送信電力 0.3W、 電波形式 5M00G7W

 こんな装置があちこちにちりばめられたフロアであります。  

 建物入り口の看板2010.10.11追加
 建物5階には以下の装置があります。
 マイクロ波アンテナ(レーダーサイトと長岡市内の基地局の約10kmを結ぶ回線のアンテナ。利得は43db)
 水冷クライストロン用ラジエータ(クライストロンを冷やした水を冷やすための装置)

 そして、9階がレードームの床となります。レードームには回転する反射鏡は1つですが2種類のアンテナとして動作しています。
 ARSRアンテナ:ARSRのレーダーアンテナは2個の電磁ホーンを放物面反射鏡で構成され、反射鏡は、 横幅 13m、 高さ 8m、 重さ 11t、もあり、これが10秒間で1回転しております。
 2個の電磁ホーンは取り付け位置が異なるため、ハイビームとロービームの2つの指向性パターンがあり、受信時は2つのビームを切り替えて使っています。アンテナ利得は35db。風雨雪を避けるための球形レドームの大きさは直径17mもあります。
 SSRアンテナ:SSRのレーダーアンテナは、ARSRアンテナの反射鏡を共用する複合給電方式で、SSRの放射器はARSR用の電磁ホーンを挟み上下に2個配置されています。SSRアンテナの利得は22dbで、ARSRアンテナの場合と異なり受信時は2個の放射器で受信した電波を合成して使います。
 なお、レーダーアンテナの架台は水平方向に免震構造となっております。このため導波管の一部には「フレキシブル導波管」が採用されています。  

 説明してくださった職員の方々2010.10.11追加
 画面中央の3名がこのたび説明してくださった方々です。有り難うございました。なお、本文資料はこの方々から見学時にいただいたパンフレットを基に記載しております。

 説明はいいから内部の写真はどうした!! という疑問やお怒りを感じた方々、申し訳ありません。内部は「撮影禁止」でありましたので、せっかくカメラを担いでいったのに外の風景しか撮影できませんでした。すんません。  

 屋上からの眺め2010.10.11追加
 レーダーが設置されているレドームの外に出るとそこは屋上です。当然のごとく眺めは最高なんですが、そこから見えた謎の鉄塔二本。。。だいぶ朽ち果てておりまして危険な状態。何に使われたのでしょうね?  

 えっとお?2010.10.11追加
 すいません。説明を聞きそびれました。なんの設備か判る人、教えてください。  

 RCAG送信所2010.10.11追加
 以前というかこの上の方でRCAG受信施設の写真がありましたが、こちらはRCAG送信所になります。
 民間機と交信するためのVHF設備と軍用機と交信するためのUHF用とがあるようです。アンテナ利得は約2dbで、レドーム付き広帯域λ/2ダイポールなのだとか。ちなみに、小木ノ城RCAGでは、VHF帯で6波、UHF帯で6波、計12波あるとか。

 VHF:100MHz帯、送信出力50W、電波形式A3E
UHF:200〜300MHz帯、送信電力100W、電波形式A3E  

 アマチュア局2010.10.11追加
 9階の屋上から眺めた、アマチュア無線の小木ノ城レピータ施設。遙か下方に見えてしまい、なんとも情けない(笑)。  

 

★ ところで、説明してくださった方のお話によると、「小木ノ城」は想定以上に地滑りや豪雪や地震の被害が多く、メンテナンスに費用がかかりすぎることから、あと数年で「廃止」される運命なのだとか。ここまで作っておいて「もったいないなぁ」というのが私の感想でした。 ★
※ ということで小木ノ城は2013.3.31で運用を停止したようです。お疲れ様でした。 ※

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