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電波を見る

JH0EYA (2010/11/16)

[IC-PCR1000] [ディスコーンANT]
 アマチュア無線は電波を送信することが出来ます。しかし開局するには免許が必要で、送信できる周波数も限られています。ところが、電波を受信するだけなら免許は不要です。そして、ありがたいことに日本では電波を受信するだけなら、犯罪にはなりません。(受信した事実や、受信した内容を誰かに話した場合は、その行為が罪に問われる事もあります(電波法第59条))

 自宅の屋根の上を自在に飛び交っている電波にはどのような内容があるのか?私にはとても興味があります。せっかく自宅まで届いている電波なのだから掴まえてみたいものです。そこで私は庭に電柱を建て(これを”マイ電柱”と呼んでおります)、15mの高さにディスコーンアンテナ(上の写真・右)を設置し、IC-PCR1000という受信機(上の写真左)にて電波受信を楽しんでおります。

 ここでは、広帯域受信機IC-PCR1000を活用しての様々な無線通信・放送の傍受を楽しむ方法を記載したページです。もちろんIC-PCR1000に限らず、広帯域受信機をお持ちの方にはお役に立つ情報だと思っております。広帯域受信機を単なるラジオにとどめず、パソコンを活用していろいろな通信を見てみましょう。

 なお、このページでは消防無線とか業務用無線とか海外短波放送には一切触れておりません。いや、決して聞いていない訳じゃないですけど。(笑)

注)
 
IC-PCR1000は、2004年で製造を中止しました。しかし2005年11月に後継機のIC-PCR1500とIC-R1500が発売されました。またその後、二波同時受信可能なIC-PCR2500とIC-R2500が発売されています。これらの製品はUSB接続ですので、最近のノートPCとの相性は抜群なのではないでしょうか?
1:PCで無線機を見る
2:画像通信を見る  
3:文字通信を見る  
4:飛行機を見る   
5:周波数帯域を見る 
6:チャットを見る  
7:短波放送を見る  NEW


■ どこでもラジオ



1:PCで無線機を見る
 私が中学生の頃は「BCL」というのが大ブームでした。BCLとは, Broadcasting Listenerの略で、直訳すれば放送聴取者という意味です。ですが一般にBCLというと、主に短波放送の聴取者のことを言います。当時の科学少年達はそのBCLブームに踊らされていました。(遠い目)

 1975年前後の科学少年が買えたラジオは、せいぜい0.5〜30MHzとFM放送が入るラジオで、それが3〜4万円前後でした。それが今では似たような価格でIC-PCR1000という超高性能ラジオが買えたのです。

 安さの秘密は、操作部分を全てパソコンに任せきったことにあるのでしょう。マンマシンインターフェースの設計やフロントパネルの金型制作等の面倒な工程が不要になり、ラジオ本体のみを作るだけですみますから。

 そのかわり、操作は全てPCでやることになるので、操作するソフトウエアが使い勝手を左右させます。もちろん購入した時点で操作用ソフトウエアも標準添付されてきます。この標準添付されるソフトに特に不満はなく楽しく使用していたのですが、私が購入した当時の受信ソフトはWindows98以前のOSにしか対応しておらず、ICOMからもWindows2000には対応する予定は無いと言われたのでありました。

(ICOMのIC-PCR1000純正受信ソフトはICOMのダウンロードのページから入手可能です。現在の最新版はVer2.2J(2004/01/29)となっております。このソフトはWindows98(SE)/ME/2000/XPに対応しております。なお、IC-PCR1000本体は2004年で製造を中止ましたが、2005年11月より後継機のIC-PCR1500とIC-R1500が発売されました。またその後、二波同時受信可能なIC-PCR2500とIC-R2500が発売されています。)

 [TalkPCR]そんなときに見つけたのがこのTalkPCRというソフトです。このソフトならWin95/98/NT/2k/Me/XPのいずれにも対応しています。
[なお、LinuxやDOSやPalmで使いたい方は、こちらを参照されてみてください。また、Macintosh (Mac OS X version 10.3 or later)用受信ソフトとしてはMacR-1000があります。]
 このTalkPCRは、2003年までは有償ソフトだったのですが、2004年4月からはなんとフリーソフトになりました。ダウンロードはこちらから出来ます。バージョン2.4F2がフリーソフトのようです。
(なお、私が使用しているのは有償ソフトの方です。以下は有償ソフトに基づいてご紹介致します。)

 ラジオの画面はコンパクトにまとまっており、大変使いやすくなっています。このため画面解像度の低い(画面の狭い)ノートパソコンにも表示しやすくなっています。車載や移動運用などでありがたみを感じることでしょう。操作方法も通常の無線機と変わりなく、アマチュア無線経験者でしたら何も違和感を感じません。 また、チューニングダイヤルがマウスのスクロールボタンで回せるので、従来の無線機感覚で周波数合わせが可能です。
 このソフトが本体標準添付のソフトより優れているのはWindows2000やWindowsXPに対応している事だけではありません。


●ハードディスクに受信音声を録音できる
 IC-PCR1000の音声出力をサウンドボードに接続すれば、受信内容をハードディスクに録音する操作が出来ます。圧縮機能付きなので、リソースを食いません。
●上記とタイマー機能を併用すれば留守録も可能。
 昔のラジカセみたいにタイマー起動して録音することも可能です。また、スケルチと併用して音声入感時のみ録音することも可能なので、放送ではなく通信を傍受する人にも使える機能です。
●スペクトラムアナライザー機能
 [Spectram] スキャンの最初と最後を入力して、決められたバンド幅をスキャンするのはたいていの受信機にも出来ますが、この機械のスゴイのはそれをグラフ表示してくれるということです。グラフの横軸が周波数、縦軸が信号の強さを表します。入感した信号が一目瞭然で分かりますね。 この機能は色々と使い方がありまして

 ・アンテナを切り替えて、グラフの違いによりアンテナの感度測定が出来る。
 ・盗聴器の発見
 ・未確認無線局(放送局)の発見がビジュアルにできる。(耳で聞いていなくても良い)

 などなど、とても楽しい機能です。 なお、表示してあるグラフの例は、磁界ループアンテナとプリアンプ付きのディスコーンアンテナとを切り替えて、0.5〜30MHzを受信した場合の信号強度を表示比較しております。このようにアンテナの違いを目で確かめることが出来るのであります。(赤い方が磁界ループアンテナ・緑がディスコーン)
 ちなみにこれ(↓)が磁界ループアンテナです。先輩からの寄贈品でしてALA1530という機種です。長波〜短波受信に適しており、感度が非常に良いのが特徴です。新潟から昼でも在京民放中波局がフルスケールで受信できます。
[SLoopANT]
●チャネルモニター
 指定されたチャネル、もしくは決められたバンド幅をスキャンし、各チャネル毎の信号のピーク値・入感回数等を記録してくれる機能です。


 この他にも一般の受信機に付いているスキャン機能は全てそろっていますので、非常にお勧めの受信用ソフトです。是非使ってみて下さい。

 あ、メモリーチャネル数ですけど、A000〜Z999(26バンク*1000チャネル)まで使えますから「足りない」と嘆く必要はまずあり得ないでしょう。メモリはバンク毎のファイルとなっており、プログラム内部で編集する機能も当然ついておりますが、メモリファイルの拡張子を一時的にCSVに変更すればExcel等の編集ソフトで操作することが出来るので並べ替えや編集作業がとても楽に行えます。この他に一時記憶用メモリやプライオリティスキャン用メモリも用意されてます。

 このTalkPCRでは1バンクあたり1000チャネル記憶出来ますので、最大1000チャネルのメモリスキャンが可能です。ICOMの受信用純正ソフトウエアでは1バンク50チャネルのスキャンしかできませんので大量のスキャンをしたい方には便利です。私のような田舎ではV/UHFにおける業務無線の交信頻度は非常に少ないため、知っている周波数全部を1バンクに入れてスキャンかけてます(笑)。
 メモリに関して付け加えるとすると、IC-PCR1000標準添付の受信ソフトのメモリーをTalkPCRにインポートする機能も付いています。これによりソフトウエアの移行も非常にスムースに行えます。
 このように特筆すべき点が非常に多く、安定動作するこのソフトはとても使いやすいので大変気に入ってます。


 残念なのは、メモリーチャネルの名称に日本語が使えないことと、FM文字放送に対応していないことでしょうか? どちらも日本特有の事情ですから、海外ソフトにこれらの仕様を求めるのは贅沢なのかも知れません。
 どうしてもということであれば、最近のIC-PCR1500とIC-R1500や、IC-PCR2500とIC-R2500をお求めになれば、全てが解決するかも知れません。上記の機能のうちいくつかは、これら新型の受信機ソフトでは実現されているようです。



 TalkPCR以外にもIC-PCR1000用受信ソフトはいくつかあります。私が使ってみたものをご紹介いたします。

1:Pcr-Pro1k(Pcr PRO-1000)
[Pcr PRO-1000]
 ブラックフェイスのフロントパネルがとっても異国文化の香りを漂わせてくれます(笑)。なんとなく、昔の輸出用トランシーバを思い出してしまうのは私の偏見でしょうか? ICOMオリジナルソフトやTalkPCRとはボタン類がまた違った配置になっており、新鮮さを感じます。ですが、残念ながらレスポンスが若干悪いのと動作が不安定なのがちょっと気になります。

 このソフトの特筆すべきところはデバッグ機能付きというところです。周波数表示の右下に「D」というボタンがあり、それを押すとサブウィンドウが開き、IC-PCR1000とコマンドレベルでの通信が行えます。まあ、ハイパーターミナルを使えば済む話ですが、そこをあえてプログラム内に組み込んだところに(しかも公開しているところに)おしゃれを感じます。

 このPcr PRO1000については今後のバージョンアップを期待しているのですが、最新バージョンのドキュメントファイルには今後のバージョンアップは困難な旨が記載してあります。ちょっと残念です。

2:PCR-1000 Mini Controller v0.7.0
[Pcr-1000mini]
 こちらもフリーの受信ソフトです。Pcr PRO-1000よりはサクサクと動作してくれます。メモリーチャネルは1バンク当たり100チャネルまでという制限がありますが、ICOM純正ソフトからのインポート機能も持っており、移行は楽でしょう。
 また、表示部分のパネルや文字色は自分でカスタマイズできるようになっております。メリケン製品としては珍しく細かい芸当と言えましょう。(笑)

 何より嬉しいのはこのプログラムソースが「公開」されていることです。言語はVisualBasicで出来ており、実行モジュールをダウンロードしてセットアップ後、このソースをダウンロードするとプログラムの中身を見ることが出来ます。自分自身の力で受信ソフトを開発してみたいと思っている方にはとても参考になるのではないでしょうか?


 あ、海外のソフトを使わなくてもこのIC-PCR1000用受信プログラムは「自作する」という方法もあります。
 IC-PCR1000とパソコンはRS-232Cで接続して使用しますので、このRS232Cの信号線を行き来するデータの内容が分かれば、原理的にはプログラムを作成することは可能です。ただし、ICOMさんはこの仕様を公開していませんので信号の意味を自分で調べるしか有りません。
 坪井裕さんのIcom IC-PCR1000の小部屋では、このコマンドリファレンスが公開されております。自作をされたい方には朗報ですね。



2:画像通信を見る
 画像通信・・・。テレビはハイビジョンになり、インターネットでもDVD画質の動画が楽しめる今日この頃。IC-PCR1000から一体どんな画像が取り出せるかというと・・・「SSTV」です。

 SSTVは「Slow Scan Television=低速度走査テレビジョン」の略称です。日本やアメリカで普及している一般のNTSC規格のテレビでは4.5MHzもの帯域を使用し、1/30秒で1画面のカラー放送を行っています。つまり一秒間に30枚の画像を送るパラパラマンガですね。

 一方SSTVは、フルカラーの画像を3kHz以内の狭い帯域を使用し、1分程度で一枚の画像を送信するのです。画像一枚送るのに一分とは・・・と、思うかも知れませんが、帯域が3kHz以内ということは音声が送受信できる設備ならどんな無線機ででも画像のやりとりが出来るわけです。もちろん送られてきた画像を録画するのもビデオテープなどという高価な機材ではなく、カセットテープに「録画」出来てしまうのであります。  とはいえ、ちょっと前までは画像を音声信号に変換したりするのにはスロースキャンコンバータという高価な機械が必要でした。それが今ではソフトウエアで済むようになったから便利な時代になりました。

 [SSTV]ソフトウエアは色々な種類がありますが、私が活用しているのはMMSSTVというソフトです。IC-PCR1000の音声出力をサウンドボードに接続し、このソフトを起動するだけでSSTVの受信が楽しめます。詳しい運用方法や受信できる周波数はソフトウエアに添付の資料にも掲載されていますが、一番手軽なのは7.033MHzのLSBでしょう。ほぼ一日中、国内のアマチュア無線家がSSTVを楽しんでいます。ソフトを起動して画像を受信していると、花鳥風月や無線室の写真などきれいな画像が飛び交っていて、見ていて飽きません。このソフトはありがたいことにフリーソフトなので、是非ダウロードして楽しんでみてください。あ、トランシーバに接続すれば受信だけでなく送信することも可能なソフトです。直感的に操作できるのですぐにでも使えることでしょう。


 この他に画像通信としてはラジオFAXがあります。短波で受信できるFAXとしてもっとも有名なものでしかも簡単に受信できるのはやはり気象FAXでしょう。ただし、利用者が少なくなっているのか、だんだんと送信周波数が少なくなってきています。  気象関係の画像としては、人工衛星の気象画像をとらえることも出来ます。これらの画像データを受信するソフトとしてはWXSatというソフトが入手できます。これもフリーソフトです。

 人工衛星といってもとらえる電波はVHF(130MHz帯)です。ですから直径何メートルもあるような巨大なカセグレンアンテナやパラボラアンテナを使う必要はありません。とはいえ、相手は地球を周回してますので、それなりに追尾するような指向性のあるアンテナを活用しないときれいな画像は表示できません。

 衛星の位置確認には様々な方法がありますが、最も簡単な方法としてMakoto Kamadaさんの人工衛星の位置を表示する をお勧めします。この機能を利用して、例えばNOAAの軌道を抑えておき、日本に近付いた頃を狙って受信すれば、初歩的な利用は可能です。



3:文字通信を見る
CW・テレタイプを見ることが出来ます。

 CWは私の他のページで触れているように、本来は耳で聞いて頭で文字に変換し、手で文字を記載するという伝統的「人間プロトコルコンバータ」用符号なのですが、これを行うにはモールス信号を覚えなければなりません。モールス信号はその気になればすぐ覚えられます。うちの子が幼稚園の頃に和文のCWを教えたら一ヶ月くらいでマスターしちゃいました。(今はすっかり忘れてますが)
 でも、最近はそんな苦労をしなくてもコンピュータがCW符号を解読してくれます。

[CW]私が使用しているのはWIN_CWというソフトです。このページにはWin3.1用となっていますが、私の所ではWindows2000でも動作しています。このソフトはモールス符号を文字に解読してくれると共に符号を目で見える形にしてくれるので楽しく活用できます。ただし、モールス符号はもともと人間が聞いて理解できるための信号ですから機械向きとは言えません。ですので雑音が多い場合や混信しているときには、ソフトウエアに解読してもらうより人間が耳で聞いて文字に直した方がはるかに性能が優れています。(笑) 特にIC-PCR1000は、最小の受信帯域幅が2.4kHzなので、CWを本格的に聞くにはちょっと広すぎますね。


 無線のテレタイプはRTTY(ラジオ・テレ・タイプ)と言われており、アマチュア無線の場合ですとマイクロホンの代わりにキーボードを使って文字通信するようなもんです。

 私、実は昔からRTTYには興味がありまして、二十歳の時にRTTYに挑戦してみたことがあります。それから二十年ちょい経ちますが、未だに受信に成功したことがありません。(笑) いっつも文字化けするか、何も表示されないかのどちらかなんです。私にとってRTTYは「呪われた通信方式」なのです。(笑)
(受信するに必要な知識が不足しているに過ぎないと言うご意見は却下) (^_^ゝ



4:飛行機を見る
 民間機と航空管制とのやりとりを聞く航空ファンの人は結構多く、その道の趣味人ではないので私はたいしたことは言えませんが、少なくとも外部アンテナを屋根の上に建てれば、長岡市(旧栃尾)の田舎でも航空無線は楽しむことが出来ます。といっても、カンパニーラジオ以外ほとんどの場合が英語での交信ですから、私のような不勉強ものには辛いです。(笑)

[WACARS]  さて、掲題の件はその航空無線を聞いて楽しむのではなく、航空機が今何処を飛んでいるのかを画面の地図上に表示して楽しもうという仕組みであります。

 航空機と管制塔との間で、データ通信により航空機の便名、行き先、その現在位置などの情報が航空機から送られている仕組みがあります。ACARS(Aircraft Communications Addressing And Reporting System)というものです。この情報を受信して表示するソフトがWACARSです。詳しい使い方はMatsushitaさんのページをご覧下さい。

 しばらく使っての感想ですが、きれいに表示させるにはいろいろと調整が必要のようです。 漫然と受信機のAFをサウンドボードに接続するだけでなく、受信機のIF通過帯域幅の調整とかAFゲインの調整などをやって、きれいにデコードする必要があります。
 また、全部の飛行機が位置情報を送信しているわけではありませんので、飛行機が画面上に表示されるまでには結構忍耐が必要です。 この図ではある日の9:30から11:00まで受信した結果です。

 表示されている地図はWACARSには添付されてきませんので自分で調達する必要があります。 私の場合はちらし寿司の「白地図」を利用しています。ちなみにこの「白地図」は非常に便利ですね。これだけの機能があってフリーソフトというのですから頭が下がります。


 最近は日本語に対応したデコードソフトもあるようです。巷で有名なのが「KG-ACARS」というフリーソフトです。こちらの使い方は上記よりもっと簡単でして、パソコンと受信機を接続してソフトウェアをセットアップすれば準備完了。後は自分の住んでいるところを地図の中心に持ってくればいいだけです。

 デコードのコツは上記のWACARSと同じです。受信機のAFゲインとIF通過帯域幅を調整し、KG-ACARS画面右上の緑色が点灯するようになればOKです。
 日本語対応なのでデータも国内各会社のデータが豊富です。受信した飛行機の画像やデータも表示されますし、ポケモンやたまごっちジェットが飛んでいるのを受信すると、サウンドやメールでお知らせするという機能まで(!)

 私が住んでいる盆地でもかなり広範囲のデータを受信できますので、エアバンドが受信可能な方は、是非一度試してみて下さい。
 ちなみに、都内のホテル3階室内にVR-150を持ち込んで窓際に置き、KG-ACARSを試したことがあります。ロケーションは最悪でしたが、それでも関東平野と静岡方面の情報が表示されましたので、かなりの悪条件でも受信可能なようです。
[KG-WACARS]
(詳細画面をごらんになりたい場合はKG-ACARS作者のページにドゾ!)



5:周波数帯域を見る
 IC-PCR1000は受信帯域の幅を電波形式とは独立して選択することが出来ます。従ってAMラジオを聞く場合でも音質重視なら帯域を15kHzにするとか、混信がひどい場合には帯域を2.8kHzに狭くするとかが出来ます。

 ただし、前にも述べましたように一番狭い帯域でも2.8kHzでして、混信しているモールス信号を聞くにはちょっと帯域が広すぎます。そんなときに有効なのがWelcome to JE3HHT's pageで紹介されている「DSPFIL for Windows」です。

[DSPFIL]  図の左上にあるのはIC-PCR1000で受信帯域2.8kHzにして受信した、ある日の7メガ帯です。黒い窓が受信帯域のグラフです。帯域2.8kHzに4つのモールス信号が存在し、それぞれ300・700・1100・1800Hz付近でピークを示しています。その他にも山のように信号が入感してます。このままでは一度に4つ以上ものCW符号が同時に聞こえてしまい。自分の耳でフィルタリングするしかありません。ま、なれた人ならこのままでも運用できますが、聖徳太子じゃあるまいし、このまま聞いているのはかなり苦痛です。できれば聞こえてくるのを一つに絞りたいところです。

 そこで「DSPFIL for Windows」を起動し、右下の白い部分にあるような特性のバンドパスフィルターを作成します。作成すると言っても方法は実に簡単で、パラメータを埋めて自分の必要とするフィルターの数値を入れるだけです。今回は700Hzを中心に100Hz帯域のバンドパスフィルターを作成してみました。

 結果は図の右下の黒いバックのグラフを見て頂ければ分かるとおり、4局以上がひしめいていた入力信号が見事に一局になり、きれいなモールス符号が聞こえてきます。混信は全くありません。

 通過帯域幅をこのように目で確認しながらフィルタを作成し、結果を耳で確かめることが出来るというのは直感的でとても便利です。また、BPFだけでなくLPFやHPF等いろいろなフィルタを設計できますので、フィルタの勉強にも役立つでしょう。



6:チャットを見る
 PSK31というデジタル通信があります。これは耳で聞いていても分かりません。7メガなどではCWしか聞こえないのに、実はその中にPSK31の信号が隠れていたりするのです。同じチャットツールとして昔からRTTYがありますが、PSK31の決定的なメリットは日本語文字に対応している点でありましょう。

 これを受信するのもPCR-1000では簡単です。PCR-1000の音声出力をサウンドボードに接続し、受信解読用のソフトをインストールするだけで済みます。
 私が使用しているのはWinPSK2というソフトです。日本語版も存在します。JL1RSHさんのホームページの「ダウンロードの部屋」から入手することが可能です。なお、このソフトは無線機に接続すれば送受信が楽しめます。
[WinPSK32]  図は7.028MHzを受信しているときの状態です。画面下の青い帯状のグラフが、自分の受信しているスペクトルを表します。通常SSBモードでは受信帯域が約2.8〜3.4kHzあります。その下側200Hzがこの帯状のグラフの左側に来ており、右に行くに従い周波数が高くなります。右端では3500Hz付近になります。

 このグラフの左側に水色の線が一本縦に入っているのが分かるでしょうか?これがPSK31の信号です。HFでのチャットですが日本語にも対応しており漢字やフェイスマーク(!)もバッチリ利用できるようです。混信にも強いみたいです。この画面の状態ではCW符号が3つ4つ聞こえてましたが、PSK31の信号はきれいに受信できました。

 さて、耳で聞いても分からないPSK31の信号をどのように見つけるか。
 アマチュア無線のバンドプランを見ますと、各周波数帯域毎に「狭帯域デジタル」という使用区分があります。まずはこの帯域に周波数をあわせます。あとは先ほどのグラフ画面を見ながら周波数を移動して信号を見つけます。最初は受信するのに四苦八苦しますが一回受信に成功すると、PSK31の信号なのかCWなのかをグラフの信号を見ただけで分かるようになります。耳ではなく、本当に目でチューニングするわけです。
 なお、帯域の非常に狭い信号ですので正確にゼロ・インする必要があるのですが、最終的なチューニングは受信ソフトがやってくれます。

 このPSKには2つのモードがあります。BPSKとQPSKです。
 BPSKはUSB、LSBに関係なく受信が可能ですので、バンド別にLSBとかUSBとかを気にせずに受信できます。
 QPSKは誤り訂正記号を含んだ信号を送り出しており、より文字化けの少ない交信が可能となっているようです。また、QPSKにはQPSK(USB)とQPSK(LSB)がありますが、WinPSK2に付いているのはQPSK(USB)だけのようですね。ですが、受信している限りにおいては、国内の交信ではほとんどがBPSKで、QPSKの信号はあまり見ませんでした。

 スピーカーから聞こえてくる音で交信風景を楽しむのではなくて、お互いがチャットしている風景を画面上で静かに楽しめるこのモード。しかも混信に強くて小電力向きとなれば、これから次第に普及するかもしれません。是非お試しを!!



7:短波放送を見る
 世の中は全て「デジタル」の時代。テレビだけでなく、短波放送の世界にも「デジタル」な放送が存在します。これをその方式から「DRM放送」と呼んでおります。
 DRMはデジタル・ラジオ・モンディエール(Digital Radio Mondiale)の略称で、主に短波を使用した振幅変調(AM)のデジタル方式の放送です。送信側は従来の送信機にエンコード用のDSPを使用するだけでデジタル対応でき、対応に大きな費用がかかりません。
 加えて、放送帯域を広げることなくFM放送並みの綺麗な音質になりますので、海外では結構DRM対応の放送局が出現しております。 が、日本では今のところ対応予定はないようです。

 この放送を受信するためのラジオも海外では市販されているようです。しかし、わざわざそのようなラジオを購入しなくても、IC-PCR1000を使用することによりDRM放送の受信は可能です。
 詳しくはここに記載されている通りです。
 簡単に箇条書きしますと
  ・IC-PCR1000で普通の短波放送が聞こえる状態にセッティングする
  ・デコードソフト(DREAM・フリーソフト)をダウンロードする
  ・DREAMをセットアップします
  ・IC-PCR1000のコントロールソフトをDRM放送の周波数に合わせます。
 このとき、IC-PCR1000はDRM放送専用機ではないので特有のチューニングをする必要があります。まずはDRM放送の周波数より10kHz上にチューニングします。そして、受信帯域は50kHz、電波形式はLSBを選択します。
 あとはDREAMソフトウェアの 「Flip Input Spectrum」にチェックを入れ、グリーンインジケータが6個点灯するのをひたすら待つだけです。

 [DRM]図はニュージーランドのDRM放送がデコードされている状態です。放送局名が見えるというのがデジタルならではと申せましょう。
 画面には、放送局名(RNZI)が表示されているウィンドウと、受信状態が表示されているウィンドウの二つが同時表示可能です。左上のウィンドウに緑色の点が6個縦に並んでいますが、それが先程述べたインジケータです。

 デジタル放送ですので音質は良いのですが、反面、デジタル放送ですから「ノイズにまみれてかすかに聞こえる」などと言うことはありません。電波状態が悪いときは「聞こえる」「聞こえない」を繰り返します。これは結構「良いアンテナが欲しい!」というストレスを感じます。(笑)

 世界のDRM放送スケジュールは、こちらで最新の情報を確認することが出来ます。今となっては「骨董」となってしまったIC-PCR1000で、是非最新のデジタル放送に挑戦してみて下さい。
 なお、IC-PCR1000でなくてもDRM放送は楽しめます。→ DRM受信

 何度も申し上げますが、デジタル放送ですので聞こえないときは全く聞こえません。聞こえるまでひたすら待つという忍耐が必要です。また、図にもあるRNZI(Radio New Zealand International )は、日本でも比較的聞きやすい放送局のようです。


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